日々の雑感帖。小説は25pmにて公開しています。
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美しい日本の私

『美しい日本の私』を読んだ。これは川端康成ノーベル文学賞を受賞したときの、スピーチ全文。禅や茶道、華道、和歌、俳句などを出して日本人の心を伝えようとしているが、日本人の私にも心に響くものがあった。それに多少調べたにしても、知識量がとても豊富で驚いた。芸術関係の蒐集をしていたというのを聞いたこともあるし、この前読んだ『舞姫』もその流れの上にあったのかもしれない。

 

初めに明恵上人が禅堂の行き帰りや出入りの際に読んだ歌がいくつか紹介されてる。月が雲から顔を出してついてきているように思えたり、月を思いやったりするのが、自分の友と思える、むしろ自分が同じ月として感じられるほどだという、その精神性に日本特有の感性があるのだ書いている。最初にもってきたのが典型的なわびさびではなくこの題材ということに、著者の思いを感じた。日本人が感じる美しさは外国人が想像する盆栽とか神社とか俳句とか決まった形あるものではなく、身近にある様々なものにあるのだというメッセージのような気がした。

 

ただ、大舞台で日本を表現しようとするあまりか、他国とは違う、という言い回しの文が意図せず他国を見下しているように受け取られてしまう危険性がある、そう思うところがいくつかあった。そんな心配をしてしまうほど、作者の側にたって深く共感している自分がいた。

 

後半は英訳なので実質37ページの本書、人を選ぶので現実世界で薦めることはないが、他人にこれほど読んでほしいと思った本もまたない。