日々の雑感帖。小説は25pmにて公開しています。
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 コーラをひとくち飲んで私はたずねた。

「それって生まれたときからそうなの?」

 彼は悪びれることもせず、ほほえみながらさらりと答えた。

「そうだよ。まぁ気づいたのは小学校のときなんだけどね」


 初夏の公園は、眩しいほど明るい緑の光を木々から放っていた。空は青く、地面

は白かった。そんな場所のベンチにふたり座っていた。


「じゃあ・・・じゃあね、そのうちとうめいになっちゃうんじゃない?」

「うん、いつかは分からないけど。このまま体が透けていったら最後は綾香ちゃん

の言うように透明になって、それで消えちゃうんだと思うよ」

 私はひっしになって考えて、また上を見て言った。

「消えるってどういうことなの?」

 彼は不意をつかれたというふうな顔になって、自分の手のひらを見て、それからしばら

く空を見上げていた。からりと乾いた風が私たちの周りを吹きぬけていった。

「それが僕にも分からないんだ。自分が消えちゃうってどんな気持ちなんだろう

ね」


 私たちはなにも言わないで、木の影でできたまだら模様が足元で踊るのを見て

いた。風がふくと忙しく騒ぎ出し、吹き過ぎるとまたもとに戻った。それをずっと

繰り返していた。


 それから、また彼に話しかけようと思い、顔をあげると彼はいなかった。い

なかったのだ。そこには彼の靴の跡がまだ残っていた。